文禄3年(1594)春、豊臣秀吉は吉野で花見を催しました。この屛風は家臣など5000人に及んだという一行の盛観を描写した作品です。
秀吉によって再建された蔵王堂へと向かう行列の中、豪華な衣裳を纏い、晴れやかな表情で輿に乗るのが秀吉。その他、特定はできませんが花見に同行した豊臣秀次、徳川家康、前田利家、伊達政宗らも描かれているかもしれません。
本図は花見の記念と記憶のため、豊臣政権に近い狩野派の本流の絵師が手掛けたものと推測されています。


重要文化財《豊公吉野花見図屛風》(左隻・部分) 桃山時代 細見美術館蔵