これだけは観ておきたい2019年京都と滋賀の美術展  第2弾

これだけは観ておきたい2019年京都と滋賀の美術展  第2弾

染色でしかなしえない表現を追求し続けて・・・染色作家・中井貞次の活動の軌跡
イメージを染める ~ 中井貞次の世界

「藍のろう染め」という独自の技法で、国内外で自ら見聞きした風物や自然環境を題材に、藍を基調色とした色彩構成による作品を作り続けてきた染色作家・中井貞次。日展特選作品「間の実在」、同展文部大臣賞受賞作品「巨木積雪」、横幅約8mの大作「ECOLOGY」など42点の作品を展観し、60余年にわたる活動の軌跡を紹介します。
★[ことしるべ]での紹介はコチラ
 


西域の風 2003年(平成15年)

■会 場:染・清流館(京都市中京区室町通錦小路上ル)
■会 期:1月18日(金)~2月17日(日)
■時 間:午前10時~午後5時
■休館日:月曜日 ※祝日の場合は翌日
■料 金:大人300円、学生200円
■主 催:染・清流館、京都新聞
■お問い合わせ:染・清流館 075-255-5301

 


 

すべての子どもたちと家族、かつて子どもだった大人たちへ
長くつ下のピッピの世界展 リンドグレーンが描く北欧の暮らしと子どもたち

『長くつ下のピッピ』は出版以来70年以上にわたって世界中で読み継がれる名作。著者である児童文学作家リンドグレーンは、子どもの人権を守り、あらゆる虐待に反対の声をあげたオピニオンリーダーでもありました。本展は原画などの展示品約200点から、スウェーデンの生活文化や自然との共生、子育てといったテーマにも焦点を当てながら彼女の生涯に迫ります。

『長くつ下のピッピ』出版社用ポスター原画 1940年代後半 イングリッド・ヴァン・ニイマン画
Illustration Ingrid Vang Nyman ©The Astrid Lindgren Company. Courtesy of The Astrid Lindgren Company

 

■会 期:2月8日(金)~3月4日(月) 会期中無休
■開館時間:午前10時から午後8時(入館は閉館30分前まで、最終日は午後5時閉館)
■会 場:美術館「えき」KYOTO(ジェイアール京都伊勢丹7階隣接)
■入 場 料:一般800(600)円、高・大学生600(400)円、小・中学生400(200)円
※かっこ内は前売りおよび障害者手帳提示の本人と同伴者1名の料金
展覧会ホームページ http://kyoto.wjr-isetan.co.jp/museum/exhibition_1902.html

 


ゆかりある絵画、彫刻、古文書、聖教などの宝物を展示
フェノロサの愛した寺 法明院  ―三井寺北院の名刹―

明治時代、米国から来日し、日本美術の宣揚に努めたアーネスト・F・フェノロサ。彼が愛した法明院は、園城寺(三井寺)の北端にあり、共に来日したウィリアム・S・ビゲローなども度々訪れて、当時の住職たちと親交を深めました。本展では、「園城の律院」と称され、多くの学僧を輩出した法明院にゆかりのある絵画や彫刻、古文書、聖教などの宝物を展示し、法明院の歴史と文化を紹介します。

大津市指定文化財 円山応挙筆 紙本墨画山水図襖 園城寺(法明院)蔵

 

■会 期:3月2日(土)~4月14日(日) 休館日は月曜日と3月22日(金)
■会 場:大津市歴史博物館(滋賀県大津市御陵町2番2号)
■入場料:一般600(480)円、高大生300(240)円、小中生200(160)円
     ※かっこ内は前売り、15人以上の団体などの割引料金


★ 学芸員のおすすめ ★
「フェノロサ・ビゲロー関係資料」園城寺(法明院)蔵

ここにある望遠鏡、地球儀、蓄音機、ランプ、机、椅子は、アーネスト・F・フェノロサや、ウィリアム・S・ビゲローらが実際に使用していたものとされています。フェノロサやビゲローはたびたび法明院を訪れており、当時の住職らと深い親交を結んでいました。近年の調査により、これらのうち地球儀と蓄音機については、ビゲローがアメリカから送ったものであることが判明しています。 ※資料の保存のため、一部を出品しない場合があります。
 


石本藤雄と琳派の競演
石本藤雄展 マリメッコの花から陶の実へ ―琳派との対話―

フィンランドのライフスタイルブランド「マリメッコ」のテキスタイルデザイナーとして活躍したのちに、フィンランドの老舗陶器メーカー「アラビア」に所属、現在も陶芸家として数多くの作品を生み出している作家・石本藤雄の展覧会を京都で初めて開催します。本展では、マリメッコデザイナー時代のファブリックの元となった原画や、近年の陶の作品を紹介するほか、細見コレクションの琳派作品との競演を実現。石本作品と琳派作品の時空を超えた出会いをお楽しみください。



石本藤雄 「冬瓜」©Chikako Harada/Fujiwo Ishimoto

 

■会 期:3月9日(土)~4月21日(日) 月曜休館
■時 間:午前10時 - 午後6時(入館は午後5時30分まで)
■会 場:細見美術館
■入場料:一般 1,300円(1,200円) 学生 900円(800円)※( )内は20名以上の団体料金
■主 催: 細見美術館
■後 援: フィンランド大使館 フィンランドセンター
特別協力: マリメッコ


 


 

昨年好評を得た京都新聞ビル印刷工場跡を再び会場に!
KYОTОGRAPHIE京都国際写真祭2019 
S.F(Splash Factory)

 各時代の先端技術で写真や記事を組み合わせながら、様々なニュースを京都の街に報じてきた京都新聞。2015年までその新聞が刷られていた京都新聞本社を舞台に、京都で制作活動を続ける金氏徹平氏が、今年のKYОTОGRAPHIEの文脈に接続されます。今回、新聞が刷られる最先端の工場を実際に見学し、写真というメディアをより広く捉えて新作に挑む金氏(かねうじ)氏。写真のみならず工場の音や映像を組み合わせながら、新聞が刻み続けてきた近代以降の日本の歴史に、新たな1ページを加えます。(本展キュレーター 金島隆弘氏)

紙と液体 #1  Acrylic and silk screen on C-print, 2018-2019 © Teppei Kaneuji

■会 期:4月13日(土)~5月12日(日)※開催時間、休館日未定
■会 場:京都新聞ビル印刷工場跡(B1F)(京都市中京区烏丸通夷川上ル)
■入場料:無料
※京都新聞ビル印刷工場跡(B1F)ほか、市内十数会場で「VIBE」をテーマにした展覧会を開催。        (会場により有料)

 

季節は春。花いっぱいの展覧会へようこそ
陶の花Flowers ―美術館でお花見

花は古来より世界各地のさまざまな芸術のジャンルで表現されてきました。やきものも例外ではなく、東洋陶磁においては華やかな花を意匠化した吉祥文様が器を彩り、幸せな人生への願いを込めた花の陶磁器が好まれました。本展では、「花」を入り口にして近世、近代、現代という時代とシーンの陶芸作品によって表現の世界を探ります。


「はなことば」髙間 智子(たかま ともこ)2018年個人蔵

■会 期:3月12日(火)~6月9日(日)
■会 場:滋賀県立陶芸の森陶芸館(滋賀県甲賀市信楽町勅旨2188-7)
■入場料:一般:500円(400円)、高大生:380円(300円)、中学生以下無料 ※( )内は、20人以上の団体料金

見る者の度肝を抜くリアルな凄み
超絶技巧を超えて 吉村芳生

延々と17メートルにわたって描かれた金網、1文字1文字をすべて書き写した新聞紙。どれも超絶技巧、という単純な言葉では説明できません。吉村芳生が生み出した作品はリアルでありながら、見るものの度肝を抜く凄みを感じさせます。本展は初期のモノトーンによる版画やドローイング、後期の色鮮やかな花の作品、生涯を通じて描き続けた自画像など約60点を展示します。ただ上手いだけの絵ではない、描くこと、生きることの意味を問い直す真摯な作品の数々を、ぜひその眼で目撃してください。


「無数の輝く生命に捧ぐ」(部分) 2011-13年 色鉛筆、紙

会 期:5月11日(土)~6月2日(日)
会 場:美術館「えき」KYOTO(ジェイアール京都伊勢丹7階隣接)
入場料:有料

 


ゆるーくて、かわいい美術を楽しんで!
日本の素朴絵ーゆるい、かわいい、楽しい美術ー

近年すっかりと市民権を獲得した“ゆるキャラ”という言葉。美術界もこの「ゆるさ」とは無縁ではなく、昔から様々な形式の作品に緩やかなタッチでおおらかに描かれた絵が残っています。それらはなんとも不思議な味わいを持っており、見る人を虜にするのです。ゆるくとぼけた味わいのある表現で描かれたこのような「素朴絵」は、絵巻、刷り物、掛け軸、屏風や嗜好品として親しまれ、時には仏画としても信仰の対象になってきました。白隠や仙厓などを代表として、高名な人物によって描かれた素朴絵も注目されるところです。本展では、これまで本格的に取り上げられることのなかった様々な時代・形式の素朴絵を紹介することで、名人の技巧や刻まれた歴史に唸るだけではない、新しい美術の楽しみ方を展覧します。

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つきしま(築島物語絵巻) 室町時代(16世紀) 日本民藝館

■会 期:9月21日(土)~11月17日
■会 場:龍谷大学 龍谷ミュージアム(京都市下京区堀川通正面下る・西本願寺前)
■入場料:有料

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★ 学芸員のおすすめ ★
【おようのあま絵巻  室町時代(16世紀) サントリー美術館】
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 老僧が御用聞き(およう)の尼に騙されて、一夜の契りを結んでしまったという艶笑譚。掲載場面は夜が明けてすべてを悟った僧と老尼が対面するシーン。己の行いを悔いているのか、鉦を叩く僧の表情にはどこか悲哀の色が感じられる。キュビズムを思わせる住房の空間表現も面白い。