「改組 新 第4回日展京都展」作品紹介9回目は、京都新聞賞受賞の作品を紹介します。
受賞者は日本画:小杉侑未、洋画:田中孝、彫刻:竹内晋平、工芸美術:堀内晴美、書:西村大輔です。
今回の特集では日本画、洋画、彫刻の作品を紹介します。
京都新聞賞 小杉侑未『密(ひそか)』
1990年 大阪生まれ
2014年 京都精華大学大学院芸術研究博士前期課程修了
2011年 第17回松伯美術館花鳥画展 入選(同14年入選) 奈良 松伯美術館
第46回日春展 入選(同13,15,17年入選) 東京 松屋銀座・大阪 大丸心斎橋店
2011京展入選(同12,13,14年入選) 京都市美術館
第57回全関西美術展 ターナー賞 大阪市立美術館
2012年 第18回松伯美術館花鳥画展 優秀賞(同15,16,17年受賞)
第58回全関西美術展 サクラクレパス賞
2013年 第59回全関西美術展 第二席(同14,15年受賞、16,17年入選)
2015年 2015京展 京展賞
改組新第二回日展 入選(同16年) 東京国立新美術館ほか
第二回 続「京都 日本画新展」出品(同16,17年出品) 美術館「えき」KYOTO
現在 京都日本画家協会所属
”ひそか(密)という画題の通り、町外れの人目のあまり無い小さな花屋に咲く花を主人公として描こうと、2年程その店を毎日通りながら思っていました。
私自身 あまり目立つ人間では無くて影でひっそりと地道に頑張る性格なので、暗い影の中で咲いている花が自分にとって共感する部分があったのだと思います。
店の前を通るたびに人目はなくてもそんなことは関係なく明々咲き誇っている花々に、一種の憧れを感じていました。
自分の心情とピッタリ重なるモチーフに出会うことはそんなに多くはありません。
私はこの花々に出会いその世界を絵として具現化することで、何か自分自身も前向きになったような気持になりました。”(作家より)
京都新聞賞 田中 孝『白樫―奥琵琶湖』
1946年 広島県呉市生まれ
1970年 愛知県立芸術大学美術学部デザイン科卒
1989年 個展 呉市立美術館
1991年 個展 ギャラリー古今(以後3回)
2000年 個展 ギャラリーヒルゲート(以後2回)
2001年 光風会展 奨励賞
2006年 個展 ギャラリー青い風(以後4回)
2012年 グループ展「湫画会展」 ギャラリーヒルゲート(以後6回)
2016年 個展 ギャラリー中井
現在 光風会会員 日展会友
”湖北、木之本の賤ヶ岳の古戦場を下山した。
黒田の里には伊香具神社があり、しばらく歩くと直径7メートル程もある赤樫の巨木があった。雄々しい立ち姿に感銘を受けた。
しばらく眺めていたが、日を改めてスケッチに来ようと思いその場を去った。
年が明け一月の天候の良き日、再び現地へ向かった。レンタサイクルに乗り黒田にむかったものの、途中で道に迷ってしまい赤樫の場所が分からなくなった。
あちこち歩き回っていたところ、通りがかりの村人に出会い道を尋ねると、もうひとつ立派な白樫の神木があることを教えてくれた。
一緒にそこまで案内してもらったが、イノシシやシカの進入を防ぐため鉄柵がしてある。錠やロープを外し入口から山に登ること30メートル、逆光に生える白樫の老樹が目の前に立ちはだかっていた。
奥琵琶湖の林の中ひっそりと力強く四百年も生きてきた神木をじっくり描きこんでみようと思った。”(作家より)
京都新聞賞 竹内晋平『時の風 Ⅱ』
1973年生まれ。
京都教育大学美術科で具象彫刻を学ぶ。
京都市立芸術大学美術研究科修了。博士(美術)。
”身体の各部にある大小の塊をつないでいくことで,全身がリズムある流れになるよう心がけました。
本作では,現代の時流において様々な「風」につつまれながらしなやかに生きる人間像を表現することを試みています。”(作家より)