2月8日、「茶碗の中の宇宙 樂家一子相伝の芸術」の関連イベントとして「坂東玉三郎氏×十五代樂吉左衞門 スペシャル対談」が開催されました。
展覧会の感想などを笑顔で話す坂東玉三郎さん(右)と樂吉左衞門さん
対談内ではまず、伝統を背負う重みについて、お茶碗のように作品として形が残るものと、歌舞伎のように形として残らないもの、それぞれの立場から意見を交わしました。
その中で、玉三郎さんは「何代続いている、というのが無い初代 長次郎あたりの作品は解放されているような気がした」と感想を述べられました。吉左衞門さんは、「三代目までは始まりの解放感がほとばしっている」とした上で、展覧会では、歴代が積み重なっていく伝統の重荷で生まれる葛藤とどう向き合い、どのように取り組んだかが良くわかっていただけると話しました。九代 了入の作品を例に「先祖たちが様々な表現をしてきた中で、自分が時代の中でどう生きようかと考え模索した結果、篦で削ることに技法を超えた思いをかけた。40代の黒樂茶碗は挑戦的な篦であり、60代の白樂筒茶碗を経て、70代の解放的な赤樂茶碗に至る。まさにその人の人生を表している」と解説しました。玉三郎さんも白樂筒茶碗は「素晴らしく印象に残っている作品で、とても昔のものに思えない」と語っていました。
九代 了入 黒樂茶碗 巌 九代 了入 白樂筒茶碗 九代 了入 赤樂茶碗 古稀七十之内
会場は満員の参加者のもと、時折笑いが起こる和やかな雰囲気で対談は進められました。
「茶碗の中の宇宙 樂家一子相伝の芸術」の関連イベントはこれで全て終了しました。
これまでのイベントの様子は当ホームページ内にて紹介しており、樂吉左衞門さんの思いや言葉をたくさん集録しています。
残り数日となった展覧会に加えて、これらもご覧いただき、それぞれが考える宇宙に思案をめぐらせていただけますと幸いです。