■現代絵本の基礎を築いた挿絵画家
1845年、画家の息子としてリバプールに生まれたウォルター・クレイン（Walter Crane 1845-1915）は、13歳の時、木口木版の工房に入り、そこでデッサンの基礎を学びます。その後クレインは、多色刷木口木版の技術を開発した彫版師・刷師のエドマンド・エヴァンズにその才能を見いだされ、二人は1865年に全頁カラー刷りのトイ・ブック（8-12頁ほどの簡易なつくりの絵本）を生み出します。それまで絵本のカラー印刷は表紙に限られ、なかの挿絵ページは手彩色でしたので、これは画期的な出来事でした。以来、クレインはエヴァンズとともに、絵本のヒット作品を次々と世に送り、一躍有名になります。
1877年以降、クレインはトイ・ブックの仕事から手を引きますが、生涯、子ども向け・大人向けの挿絵の分野で数々の傑作を生み出します。その一方で、壁紙、テキスタイル、室内装飾などのデザイナーとして、またアーツ・アンド・クラフツ運動の推進者、社会主義活動家、装飾芸術の理論家、教育者、画家として多方面で活躍しました。

　
ウォルター・クレイン（絵・詩）『フローラの響宴』1889年　　　ウォルター・クレイン（絵）『眠り姫』1876年

＜関連の催し＞
記念講演会「ウォルター・クレインの絵本—ヴィクトリア時代に現代の絵本の源流をたどる―」
※申込不要
・日時＝2月12日［日］午後1時30分〜
・講師＝正置友子（絵本学研究所主宰）
・会場＝滋賀県立近代美術館講堂（入場無料） 定員180人(先着順)

ギャラリートーク
※申込不要  参加費＝無料（要観覧券）
展覧会場において、作品解説をおこないます。
・Ａ：日時＝2月5日［日］、2月19日［日］午後1時〜同1時45分   講師：正置友子氏
・Ｂ：日時＝2月11日［土・祝］、2月25日［土］午後1時〜同1時45分 講師：当館学芸員

たいけんびじゅつかん「ドライポイントで風景の絵本をつくろう!」
※往復ハガキまたはホームページによる申込制(申込締切2月13日［月］必着)
・日時＝2月26日[日] 午前11時〜午後4時
・対象＝小中学生とその保護者
・定員＝20人（定員を超えた場合は抽選となります）
・材料費＝1人 500円 ※大人の方は観覧券（団体料金800円）が必要です。

たいけんびじゅつかん「ミニチュア・ツリーハウスをつくろう」
※往復ハガキまたはホームページによる申込制(申込締切 3月6日［月］必着)
・日時＝3月18日[土] 午前11時30分〜午後4時
・対象＝小中学生とその保護者
・定員＝30人（定員を超えた場合は抽選となります）
・材料費＝1人300円 ※大人の方は観覧券（団体料金800円）が必要です。

大人のワークショップ「銅版画でサーカスをつくろう！」
※往復ハガキまたはホームページによる申込制(申込締切 2月6日［月］必着)
・日時＝2月18日[土] 午前11時〜午後2時30分
・講師＝舟田潤子氏（銅版画家）
・対象＝高校生以上
・定員＝15人（定員を超えた場合は抽選となります）
・材料費＝1人 2000円

記念コンサート「ウォルター・クレインに寄せて〜マザーグースからオペラまで〜」
※申込不要
・日時＝3月12日［日］午後2時〜同3時
・会場＝滋賀県立近代美術館講堂
・［出演］栗原未和（ソプラノ）、二塚直紀（テノール）、二塚裕美（ピアノ）
・［曲目］「６ペンスの唄をうたおう」「ヘイ・ディドル・ディドル」、ニコライ『ウィンザーの陽気な女房たち』より「フェントンのアリア」等
・定員150人 入場無料（事前申込不要）※当日午後0時30分より整理券を配布します。