開催期間:2025年6月25日(水)~2025年10月13日(月)
サンディエゴ美術館は、米国西海岸において最初期に収集された充実したヨーロッパ絵画のコレクションを有します。本展に出品される作品はすべてが日本初公開。なかでもジョットやジョルジョーネの作品はいずれも北米には数点しか所蔵されない貴重な作例であり、サンチェス・コターンの静物画は、17世紀スペインの静物画の代表作として世界的に最もよく知られた傑作です。それらに東アジアにおいて唯一の体系的なヨーロッパ絵画のコレクションを所蔵する国立西洋美術館の所蔵品6点を加え、より充実した構成としました。
異なる文化や歴史のなかで描かれた西洋絵画をどのように見ると楽しめるか、鑑賞のヒントをご提案します。ルネサンスから19世紀印象派まで、約60点の作品で600年を旅するようにたどりながら、ひとりひとりの「どこみる」を、ぜひ会場でお探しください。
■本展の見どころ■
★日本初公開のサンディエゴ美術館コレクションから54点が京都にやってくる!
★スペイン美術の名品が勢ぞろい!エル・グレコ、スルバラン、ムリーリョ、ソローリャ…サンディエゴ美術館、実はスペイン美術の宝庫です。
★スペインの静物画、「ボデゴン」の最高傑作が来日!フアン・サンチェス・コターン《マルメロ、キャベツ、メロンとキュウリのある静物》サンディエゴ美術館の顔ともいえる重要作です。
★他にも有名作家が続々登場!
ジョット、ジョルジョーネ、ルーベンス、ゴヤ、ロートレック…。ルネサンスから19世紀まで、西洋絵画600年の歴史を知る絶好の機会です。
★ヒントを基に深堀りするからわかる西洋絵画の面白さ!初めての美術鑑賞にもピッタリです。
Chapter 1|ルネサンス |
西洋近代美術の礎は、14~16世紀にかけて、イタリアとネーデルラント(現在のベルギー、オランダ)で起こった革新運動によって築かれ、ヨーロッパ各地へ伝播しました。ジョットからボス(工房)まで、両地域のルネサンス絵画の展開を探ります。 |
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■Column1■ 肖像画に魂を吹き込んだ謎の画家 ジョルジョーネ Giorgione #肖像画の傑作 |
ジョルジョーネは、ヴェネツィアにおける盛期ルネサンス絵画の創始者とされる画家です。緻密なディテールの描写と柔らかな陰影表現を組み合わせることで、人物の風貌の特徴のみならず実在感までを表現することに成功した本作は、ルネサンス肖像画の傑作の1点に数えられます。33歳で早逝したジョルジョーネの現存作は30点ほどと極めて少ないため、日本国内で展示されることは大変稀です。 本展では、16世紀後半のヴェネツィア絵画を代表するティントレットの肖像画とともに展示、同地における肖像画制作の展開を検証します。 |
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Chapter 2|バロック |
サンディエゴ美術館の充実したバロック絵画コレクションを基に国立西洋美術館所蔵の優品を組み合わせながら、17 世紀美術の展開をスペイン、イタリア及びフランス、フランドル及びオランダと、地域別にご紹介します。スルバランは17 世紀スペイン絵画を代表する画家の一人で、主に南部のセビーリャで活躍しました。多くのカトリック聖人像を描いたことから「修道僧の画家」とも呼ばれます。本展には4作品が出品されます。 |
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■Column2■ 静から動へ From stillness to movement #映える野菜たち |
17世紀初頭、スペインではボデゴンと呼ばれる独自の静物画のジャンルが花開きます。その始祖とされる画家サンチェス・コターンは早くして僧籍に入ったため、静物画は6点しか現存しません。その中でも最も高く評価される《マルメロ、キャベツ、メロンとキュウリのある静物》の展示は、本展のハイライトを成します。 |
![]() フアン・サンチェス・コターン《マルメロ、キャベツ、メロンとキュウリのある静物》 1602 年頃、油彩/カンヴァス サンディエゴ美術館 Ⓒ The San Diego Museum of Art
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Chapter 3|18世紀 |
この時代の美術をリードしたイタリア絵画とフランス絵画の展開に焦点を当て、両館のコレクションから風景画、肖像画、風俗画それぞれのジャンルにおける地域ごとの特徴を見ていきます。18世紀ヨーロッパでは、グランド・ツアーと呼ばれるイタリア旅行が流行。それに合わせてヴェドゥータと呼ばれる都市景観画が各地でもてはやされました。イタリア人画家ベロットは水の都ヴェネツィアの名所を明るい陽光のもと迫真的に描き出しました。 |
![]() ベルナルド・ベロット《ヴェネツィア、サン・マルコ湾から望むモーロ岸壁 》 1740年頃、油彩/カンヴァス サンディエゴ美術館 Ⓒ The San Diego Museum of Art |
■Column3■ ロココ VS 新古典 女性ファッション対決 Rococo versus Neoclassical: battle of the outfits #勝負服で挑む肖像画 |
18世紀末から19世紀初頭にかけて、フランスでは数多くの女性芸術家が活躍しました。カペとブノワもそうした二人で、女性が初めて出品を認められた1791年の官展に出品しています。カペの自画像では、ヴォリュームを強調した巻き髪や淡いブルーのリボンとドレスがロココの雅なファッションを伝えるのに対し、ブノワの女性像は、ギリシャ彫刻を思わせる薄手の白いシュミーズドレスの上にショールをまとい、より簡潔な新古典主義の時代の到来を伝えています。 |
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Chapter 4|19世紀 |
本章では、19世紀における人物表現に着目します。新しい時代に求められる近代性と古典的な絵画伝統のはざまで葛藤した画家たちの多様なあり方を探ります。革命期から第二帝政期にかけてフランスで活動したオノレ・ドーミエは、パリの都市生活を鋭い観察眼で捉えた油彩画を制作しました。時を同じくして、ドミニク・アングルなどアカデミー派の画家たちは伝統に根ざした理想的な人物像を確立していました。少し時代が下るブーグローはアカデミーの規範に従った様式で描きながらも農村の少女など純真で無垢なモデルを甘く感傷的に描きました。19世紀絵画の多彩な魅力をご紹介します。 |
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■Column4■ スペインの陽光 Spanish Sunshine |
スペイン人画家ソローリャは、生前にアメリカで極めて高い人気を誇りました。ベラスケスやゴヤなどスペインの写実絵画の伝統を受け継ぎながら、子どもたちや自身の娘など身近なモデルの何気ない仕草や表情を捉えた作品に本領を発揮しました。 画業の後半では、戸外制作を重視しました。スペイン各地の風俗や庶民の姿を描いた彼の円熟期の作品には、スペインの明るい太陽の光が素早い筆致で描かれています。 |
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□美術館紹介 |
アメリカン・ドリーム「ヨーロッパを凌駕しよう」 カリフォルニア州の最南端に位置するサンディエゴは、スペインからの植民者によって築かれた町で、現在では同州第2の人口を擁する大都市です。サンディエゴ美術館は、地元の有力市民たちの主導のもと1926年に開館し、16世紀スペインのプラテレスコ様式を復古したその建物には、ヨーロッパ、南北アメリカ、アジアなど世界各地の美術作品約32,000点が収蔵されています。中でも核となるのはヨーロッパ古典絵画のコレクションで、それらは主に1930-40年代にかけて、※パットナム姉妹 を中心とした篤志家の協力により築かれました。そのラインナップは他のアメリカの美術館同様に網羅的でありながら、同国のコレクターの好んだ初期イタリア絵画や、サンディエゴの歴史を反映したスペイン美術に優作が多いことが特徴です。 ※パットナム姉妹…アンとエイミー・パットナムは発明家であった叔父及びその事業を引き継いだ従兄弟から莫大な遺産を相続し、それを基に多数のヨーロッパの古典絵画を購入、サンディエゴ美術館に寄贈しました。
・ 実業家の夢「あこがれの西洋美術を日本へ」 国立西洋美術館は、実業家松方幸次郎の収集した西洋美術コレクションの一部がフランスから日本に寄贈返還されるに伴い、東京・上野公園に1959年に設立されました。その建物(現在の本館)はル・コルビュジエの設計によるもので、ユネスコ世界遺産にも登録されています。1910-20年代にヨーロッパで収集された当初のコレクションは、印象派を中心に19世紀から20世紀初頭の絵画と彫刻に限られていましたが、1960年代末以降古典絵画の網羅的な収集が開始され、現在ではゴシックからロマン主義に至る古典絵画を含む、6,000点以上の西洋美術作品を所蔵しています。近世以降のヨーロッパ美術を俯瞰するそのコレクションは、日本国内のみならず東アジアにおいて最も充実したものとして知られています。
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スペシャルチケット 販売期間|2025 年4 月25 日(金)~2025 年6 月24 日(火) ①お得なペア早割チケット(一般2枚セット)3900円 ②音声ガイド付きチケット 2600円 ③「わたしのどこみるノート」付きチケット 2500円 本展鑑賞中、気になった作品をメモできるオリジナルノート付きチケット。(※一般のみ) ※東京会場のみ出品作の掲載もございます。ノートの「京都会場」マークを参考にご観覧ください。 チケットに関する情報は展覧会公式サイト「チケット」ページまで □貸出料金|650円(税込)※お一人様一台につき ナビゲーターはディーン・フジオカさん ■本展オリジナルグッズのご紹介 スルバランの《神の仔羊》をモデルに……触感とフォルムにこだわったぬいぐるみや、ちょっとした小物入れに便利な巾着。また、持っているだけで幸福を呼び込む効果がありそうな天使の羽根をモチーフにしたポーチなど。国産の野菜や果物をふんだんに詰めこんだベジギフト「ベジターレ」と本展のコラボ商品も登場!すべて、本展の展覧会特設ショップでの限定発売です。
オリジナルグッズに関する情報は本展覧会公式サイトまで |
開催期間 | 2025年6月25日(水)~2025年10月13日(月) |
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時間 | 開館時間:10時-18時※入場は閉館の30分前まで |
休館日 | 月曜日 ※ただし、7月21日[月・祝]、8月11日[月・祝]、9月15日[月・祝]、10月13日[月・祝]は開館 |
会場 | 京都市京セラ美術館 本館北回廊1F 京都市左京区岡崎円勝寺町 124 |
ホームページ | https://art.nikkei.com/dokomiru/ |
料金 | 一般: 2200円 前売り(2000円) 大学・高校: 1400円 前売り(1200円) 中学・小学: 900円 前売り( 700円) ※未就学児無料。 ※障害者手帳等をご持参の方は本人及び介助人1名まで無料(確認できるものをお持ちください)。 ※チケット情報の詳細は展覧会公式サイトをご確認ください。 |
お問い合わせ | TEL:075-771-4334(京都市京セラ美術館) |
主催/後援など | 主催:サンディエゴ美術館、日本経済新聞社、テレビ大阪、京都新聞、京都市 後援:アメリカ大使館 協賛:ダイキン工業、DNP大日本印刷 協力:日本航空 特別協力:Manifesto Expo |