開催期間:2023年3月9日(木)~2023年6月4日(日)
地球環境への意識の高まりやテクノロジーの進化など、人間社会のあり⽅が⼤きく変化する現代は、新たな視点が求められる時代だからこそ、人間こそがなしうることの重要性が改めて問い直されています。
本展では、企画・監修者にデザインを軸としてリサーチと思索を重ねてきた川上典李⼦⽒(武蔵野美術⼤学客員教授)を迎え、人間や地球の歴史を意識しながら、柔軟な発想でめざましい活動を展開する日本のアート、デザイン分野の気鋭の20作家(個人・チーム)を取り上げます。
1970年代、1980年代生まれを中心とした参加作家による新作や初公開作品を多数紹介する本展では、過去と未来、自然と人⼯、情報環境と実社会といったさまざまな関係性を軽やかにつないで再解釈する彼らの作品や活動から、世界が直⾯する激動の時代に求められる「創造へ向かう跳躍するエネルギー」が鮮やかに浮かび上がることでしょう。
展覧会のセクション構成
1 | ダイアローグ | ⼤地との対話からのはじまり |
2 | インサイト | 思索から生まれ出るもの |
3 | ラボラトリー | 100年前と100年後をつなぎ、問う |
4 | リサーチ&メッセージ | 未来を探るつくり手の現在進行形 |
参加アーティスト
*50音順
・石塚源太(美術家)
・井上隆夫(アーティスト)
・岩崎貴宏(アーティスト)
・A-POC ABLE ISSEY MIYAKE(宮前義之が率いるエンジニアリングチーム)
・GO ON(細尾真孝、八木隆裕、中川周士、松林豊斎、辻 徹、小菅達之)
・佐野文彦(建築家・美術家)
・髙橋賢悟(美術家)
・TAKT PROJECT(吉泉聡を代表とするデザインスタジオ)
・田上真也(陶芸作家)
・田村奈穂(デザイナー)
・津守秀憲(ガラス造形作家)
・中川周士(木⼯職人)
・西中千人(ガラス造形作家)
・長谷川寛示(彫刻家)
・長谷川 絢(美術家)
・林響太朗(映像監督/写真家)
・細尾真孝(クリエイティブ・ディレクター)+平川紀道(ア ーティスト)+ 巴山竜来(数学者)
・目[mé](荒神明香、南川憲二、増井宏文を中心に構成される現代アートチーム)
・八木隆裕(開化堂ディレクター)+ 石橋 素・柳澤知明(ライゾマティクス)+ 三田真一(クリエイティブ・ディレクター)
・横山隆平(写真家)
本展のみどころ
1.世界が感嘆! 日本のものづくりが示す先見的な「サバイバルと創造」のヒント |
日本の伝統をふまえながら、未来の生活のあり⽅を探る現代日本のクリエイターに世界の注目が集まっています。今、活発な動きを見せる、本展参加アーティストやデザイナーの活動形態は、アート、デザイン、ファッション、建築、映像など、ひとつの枠に収まりません。出展作品は、新作を多数含み、個人から、コレクティブ、異分野のメンバーとのプロジェクトまで、多岐にわたる制作過程から生まれました。作品の数々からは、激動期のサバイバル、未知の受容、未来に向けた創造などへの先見性を読み取ることができるでしょう。
2.京都のものづくりのバトンをうけとる後継者たちが探る「100年後」 |
歴史と伝統を継承しつつ、京都を拠点に革新的な活動を展開するチームにも目を向けます。細尾(1688年創業)の細尾真孝、開化堂(1875年創業)の八木隆裕を始め、6社(細尾、公長齋小菅、中川木⼯芸、開化堂、金網つじ、朝日焼)の未来を担う6名で結成された「GO ON」です。彼らのテーマは「日常で使われる『もの』の命を 100年先につなぐためにいま何をなすべきか」。個別にも、科学者・数学者らと共にものづくりの可能性を拡げようとする細尾のリサーチや、他のメンバーの取組みを紹介します。
3.注目デザイナーのリサーチを新作や初公開のインスタレーションで紹介 |
綿密なリサーチを重ねて課題解決を図ることで世界の注目を集めるデザイナーの最新活動を紹介します。革新的な衣服づくりを提案する A-POC ABLE ISSEY MIYAKEのチームは、京都で受け継がれる技術をとり入れた最新コレクションを披露。また、TAKT PROJECTのリサーチに基づく本展のためのインスタレーションや、人⼯と自然の関係に着目した《glow ⇄ grow: globe》の会期中の変化も必見です。ニューヨークで活動する田村奈穂の静謐に包まれたインスタレーションも日本初公開です。
4.展示デザインにも「跳躍する」才能が集結! |
展示デザインを手がけるのは、数寄屋建築で著名な中村外二⼯務店での経験を生かし「現代における日本文化」をコンセプトに活動する建築家/美術家の佐野文彦。そして空間演出にはテクニカルディレクターとして展覧会や舞台で国際的に活躍する遠藤 豊、グラフィックには野間真吾が参画。今後の飛躍が期待されるクリエイターがタッグを組みます。佐野は参加作家として新作も発表します。
作品紹介(一部)
TAKT PROJECT《glow ⇄ grow: globe》2019年 Photo: Takumi Ota(参考作品)
髙橋賢悟《Re:pray》2021年 井口靖浩氏蔵 Photo: GION, Courtesy of SEIZAN Gallery
中川周士《YOSEGI Tray》(部分)2022年 作家蔵
岩崎貴宏《Out of Disorder (Layer and Folding)》2018年 作家蔵 © Takahiro Iwasaki, Courtesy of ANOMALY
GO ON《100年先にある修繕工房》2022年(参考作品)
監修者メッセージ
人類の活動が地球に⼤きな影響を及ぼしている時代に入ったとして、ノーベル化学賞を受賞したパウル・クルッツェンが提示した新たな時代区分「アントロポセン(人新世)」のことばをしばしば耳にするようになりました。ひとと自然との関係性を新たな視点で思考することはもちろん、変化のなかで立ちどまり、周囲に改めて目を向ける時間の重要性をこれまで以上に強く感じます。 本展で紹介するのは、跳躍するかのように全身で世界の動きをとらえる気鋭の 20作家(組)が放つ、現在形のメッセージです。彼らの視点や制作の姿勢をヒントに、どのような時代にあっても思索とともに次を探ってきたひとの創造の力を考えてみたいと思います。
~~~~川上典李⼦(本展監修者)~~~~
デザイン誌「AXIS」編集室を経て1994年に独立、ジャーナリストとして活動を続け、2007年から21_21 DESIGN SIGHT アソシエイトディレクターとして展覧会企画にも関わる。同館以外では「現代日本のデザイン100選」(国際交流基金主催)共同キュレーター、パリ装飾美術館「Japon-Japonismes, Objets inspirés, 1867–2018」(2018年)共同キュレーター、「London Design Biennale 2016」日本公式展示キュレトリアル・アドバイザー等を務める。武蔵野美術⼤学客員教授、多摩美術⼤学理事。
関連プログラム
日時:2023年3月13日(月)18:30~19:45 講師:川上典李⼦(本展監修者、武蔵野美術⼤学客員教授) 会場:佛教⼤学オープンラーニングセンター(O.L.C.) 京都市北区紫野北花ノ坊町96 佛教⼤学紫野キャンパス15号館 京都市バス「千本北⼤路」下車 西へ徒歩3分 定員:対⾯50人(オンライン200人)※要事前申込み 料金:2,000円(税込)※佛教⼤学 O.L.C.正会員は 1,000円(税込) 申込:佛教⼤学オープンラーニングセンターのウェブサイト お問い合わせ:佛教⼤学 O.L.C. (075)366-5511(平日 10:00~17:00) ※申込みには佛教⼤学 O.L.C.の会員登録が必要です。 ※本プログラムは、京都市京セラ美術館特別展「跳躍するつくり手たち」との連携プログラムとして、佛教⼤学・京都新聞総合研究所の主催により開催されます。 ※この他本展では、ギャラリートークなど、さまざまな関連プログラムをご用意しています。詳細は美術館ウェブサイトをご覧ください。 |
論考執筆:川上典李⼦(本展監修者)、福岡伸一(生物学者、青山学院⼤学教授)ほか |
☆★☆★☆2023年3月6日付京都新聞朝刊に掲載された特集紙面はコチラでもご覧いただけます!!
開催期間 | 2023年3月9日(木)~2023年6月4日(日) |
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時間 | 10:00~18:00(最終入場は17:30まで) |
休館日 | 月曜日(祝日の場合は開館) |
会場 | 京都市京セラ美術館 新館 東山キューブ 京都市左京区岡崎円勝寺町124 |
ホームページ | https://kyotocity-kyocera.museum/exhibition/20230309-20230604#tab_cont01 |
料金 | 一般:1,800(1,600)円 ⼤学・専門学校生:1,500(1,300)円 高校・中学生:1,100 (900 )円 小学生:600 (400 )円 未就学児無料 ※( )内は前売、20名以上の団体料金 ※京都市内に在住・通学の小中学生は無料 ※障害者手帳等ご提示の⽅は本人及び介護者1名無料(学生証、障害者手帳等確認できるものをご持参ください) ☆前売券発売中☆ 美術館公式オンラインチケット、ART PASS、チケットぴあ、ローソンチケットほか主要プレイガイドなど |
お問い合わせ | 075-771-4334 |
主催/後援など | 主催:京都市、京都新聞、日本経済新聞社 企画:京都市京セラ美術館、川上典李⼦、米山佳⼦ 監修:川上典李⼦ 展示デザイン:佐野文彦(Fumihiko Sano Studio) 空間演出:遠藤 豊(LUFTZUG) グラフィックデザイン:野間真吾(NOMA Inc.) 協賛:株式会社マツシマホールディングス、NISSHA株式会社、一般財団法人NISSHA財団 |
備考 | ※新型コロナウイルス感染症の状況により、予定を変更することがあります。最新の情報は美術館ウェブサイトでご確認ください。 |