
さまざまな陶磁器に焦点を当てた細見美術館「陶磁器に出会う」シリーズ。10回目となる今回は、陶磁器の最高峰とされる「フランス宮廷の磁器 セーヴル」をご紹介します。
ポンパドゥール侯爵夫人や王妃マリー=アントワネットなどが、こよなく愛したセーヴル磁器の魅力をご堪能ください。

堂本印象(1891~1975年)には、8人の兄弟妹がいました。長兄の寒星は古典芸能評論家、次兄の漆軒は漆芸家、さらに印象の義弟には森守明、三輪晁勢ら日本画家、そして甥には洋画家の堂本尚郎などがおり、まさに類まれなる芸術一家でした。本展は、印象没後50年を記念し、芸術に携わる一族の作品を紹介します。さらに、印象が描いた家族の肖像や、家族をモデルとして制作された作品を通して、画面の深層に身近な人々への温かな愛情が込められていることを感じ取っていただけたら幸いです。

伝統を守り、創造へと結びつける。
歴史はそうして時代を開いてきました。
中でも、血筋を繋ぎ代の継承を果たして、伝統を守り続けた家があります。京都で450年間「一子相伝」の伝統を守る樂家は、その典型的な継承のあり方と言えます。樂家は、たった一人の子息が伝統を受継ぎ、作陶の全工程を己一人でこなしてきました。弟子を持たず、職人の分業を一切行わず、そのあり方は現代の作家性に近いとも言えます。
しかし、順風満帆に450年を経てきたわけではありません。
一子相伝の樂家も跡継ぎの途絶える危機に幾度か見舞われています。子息を授からず養子をとる代もあれば、病弱の兄に代わって、弟が代を継続することもありました。
さまざまな苦労や困難を父と子、母、娘、兄弟がそれぞれの立場で支え、その伝統を現代にまで繋げてきたのです。
樂美術館には、そうした一子相伝の狭間を支え次代に繋げた人々の作品が残されており、作品を通し細やかな家族の情愛をも感じられます。
本展覧会では「一子相伝」のあゆみと共に、その狭間で「家族」として歴代を支え繋げてきた人々の奮励の軌跡に焦点を当てます。