堂本印象(1891-1975年)と大阪との関係は深く、初期から晩年まで約60年におよびます。本展では、大阪・関西万博の開催を記念し、大阪を舞台に行われた印象の芸術活動を紹介します。図案家として働きながら画家活動をしていた20歳の頃の風俗画をはじめ、日本画家となってから手掛けた四天王寺の五重宝塔の仏画、戦後、大阪高松カテドラル聖マリア大聖堂(大阪玉造教会)のために制作した聖母マリア像の壁画や、1970年の大阪万博の万国博ホールの緞帳の原画など、多彩な創作を行いました。その軌跡をたどります。
世界的前衛芸術家・草間彌生(1929年~)の版画の世界をご紹介する展覧会です。
草間彌生は1993年第45回ヴェネチア・ビエンナーレにおいて、日本を代表する作家として世界の舞台へと立ちますが、その前後で積極的に版画制作に取り組んだことも、現在の評価につながる大きな原動力となりました。
草間彌生は1979年に版画作品を初めて発表します。そこには米国から帰国後の死や苦悩をテーマにした作品とは対照的に、華やかなモチーフが色彩豊かに表現されています。それまでの抽象的な表現に加え、南瓜、ドレス、葡萄、花や蝶など日常的なモチーフが網目や水玉で構成され、明瞭な色彩をまといます。
網目や水玉の増殖が創作活動の根幹にあった草間と、複製芸術である版画は必然的に出合ったと言っても過言ではないでしょう。
近年は、富士山を主題に浮世絵の木版画の技法を用いた連作や、モノクロームの大型シルクスクリーン作品「愛はとこしえ」シリーズなど、特徴的な作品を発表しています。
本展覧会では、世界最大級の草間コレクションを誇る草間彌生の故郷・長野県松本市にある松本市美術館が所蔵する版画作品に作家蔵の作品を加えた約330点で草間彌生の版画芸術の魅力と軌跡を展観します。