いにしえの文化や思想を伝える美術工芸品や歴史資料、その多くは、材質上、朽ち果てる宿命といっても過言ではありません。今日そういった文化財に出会えるのは、人から人へ大切に手入れし受け継がれてきたからにほかなりません。その背後にあるのは、守り伝えようとする篤い意志、そして古来培われた修復技術でした。住友財団では、そのバトンを次代につなぐべく、文化財維持・修復事業への助成につとめ、近く30年を迎えます。累計千件におよぶ助成対象のうち、集中するのが京都やその周辺。千年を超え日本の政治文化の中心だったこの地には、戦乱や天災を越え積層した記憶の数々、美意識の結晶があります。本展では、湖大から近世にいたる彫刻、絵画、文書など、住友財団助成の修復でよみがえった古都ゆかりの名品をあつめ、修復の物語とともにそのかけがえのない価値を再考します。本展が未来へと紡ぐ糸となれば幸いです。※会期中展示替えあり
パリ在住のポーランド人コレクター、ジョルジュ・レスコヴィッチ氏の浮世絵コレクションを紹介する展覧会を開催します。
氏のコレクションは、歌川広重や葛飾北斎、東洲斎写楽、鈴木春信など日本でも人気の高い絵師の作品が多くあります。
その中でも最も注目すべきは溪斎英泉と広重による「木曾街道六拾九次」。江戸と京をむすぶ中山道を主題とした本作はシリーズ全図が揃い、さらにそのすべてが初摺という貴重な作品群です。
その他日本各地の名所絵や春信や喜多川歌麿の美人画、写楽の役者大首絵なども展示。
海を渡った名品を通じて、粋な江戸の雰囲気を味わいながら、美術館での名所めぐりをお楽しみください。
展示替えあり
前期:8月27日(火)~9月23日(月・祝)
後期:9月25日(水)~10月20日(日)
日本文化の豊穣な芸術世界のエッセンスをコンパクトにわかりやすく展観します。本展では、「キモカワ」「サムライ」「デザイン」「黄金」「四季」「富士山」など日本美術を特色づけるキーワードを通して、東京富士美術館が所蔵する3万点のコレクションの名品から、ニッポンのビジュツを俯瞰的に展観します。
歴史の中で人から人へと受け継がれている、形を超えた何か「The Soul(魂)」。それは約450年にわたる樂茶碗の歴史の中でも大切に受け継がれ、また新たな創造性も導いてきました。日本文化の底流にある「The Soul」に焦点を当てた展覧会です。
大堰川沿いを歩いていると、川には鴨が泳ぎ、あちこちから色んな鳥の鳴き声が聞こえてきます。
すぐそばにいるようですが、警戒心が強くてなかなか近くで姿を見せてくれない鳥。
日本の風土に根ざした鳥たちは、自然の一部として、また興味深いモチーフとして、多くの画家によって描かれてきました。
本展覧会では、江戸時代から近現代までの多種多彩な鳥にまつわる絵画を展示し、実際の鳥と描かれた鳥との比較を通して、鳥の魅力に迫ります。
江戸時代後期に京都で活躍した絵師・横山華山。伝統や形式を重んじる諸画派に属さず、自由な画風と筆遣いで人気を博し、その名声は当時日本国内に広がり、また早くから海外でも注目されました。上下巻合計30mの超大作「祇園祭礼図巻」の一挙公開ほか、華山の多彩な画業を系統立てて紹介する初の回顧展をぜひお楽しみください。
会期 2019年7月2日(火)~8月17日(土)【前期:7月2日(火)〜21日(日) 後期:7月23日(火)〜8月17日(土)】
昭和16年(1941)に竹内栖鳳、菊池契月、西山翠嶂、川村曼舟、橋本関雪らにより発足した「京都日本画家協会」。会派を超えた京都画壇の総合的な団体として、現在、京都を中心に活躍する約600名により構成されています。2019年から2021年の三年間にわたり、すべての所属作家の作品世界を紹介する本展覧会は、様々な画風が一堂に並ぶ国内随一の規模を誇る日本画展です。今回、会員の新作約160点を展観。日本の風土に根ざした穏やかな心地よさと感動を呼ぶ日本画の世界をお楽しみいただけます。
20世紀初頭まで数百年間にわたり栄華を極めたオスマン帝国。その象徴として敬われたのは、トルコ語で「ラーレ」と呼ばれる花、チューリップでした。帝国内で盛んに栽培され、品種改良によって2000種もの多彩な姿を見せたラーレは、文学や美術においても好んで表現されました。
本展では、スルタンの宝物をはじめトプカプ宮殿に残る美術工芸品の中から、ラーレ文様があしらわれた品々をご紹介し、オスマンの優美な宮廷文化をご覧いただきます。また、オスマン時代に始まるトルコと日本との友好関係の歴史も振り返ります。
染織工芸技術の保護・育成と創意ある展開をもとめ「第53回日本伝統工芸染織展」を開催します。
象(かたち)の会は、日本画、工芸、写真、書などの異なった分野の作家たちが集まり、美と技を追求することを目的に発足した会です。22名の会員による作品をお楽しみください。
日本画家・堂本印象は生涯多くの仏画を描きました。
その代表作とされるのが、1940年に手掛けた大阪の四天王寺宝塔の堂内絵画です。この宝塔は、不運にも1945年に戦火によって消失してしまいましたが、下絵は現在まで残されています。
本展では、この四天王寺宝塔の下絵計24点を前期後期通じて一挙に公開!
また関連する仏画も展観し、印象が宝塔の絵画を描いた軌跡をたどります。
さらに、本展では堂本印象コレクションの仏像を初公開。
優れた目利きとしても知られる印象が自身で集めた、平安~鎌倉時代の貴重な仏像をご覧いただけます。
日本の詩を代表する和歌は、平安時代、王朝貴族たちの繊細な美意識によって完成された「かな」によって、他に類をみない造形美を結びました。流麗な線、きわどい字形、緩急自在な字流れに絶妙な配置、さらには装飾された料紙―それらが響き合い、三十一文字に限られた世界を変化に富むものへ昇華させたのです。
泉屋博古館が所蔵する住友コレクションの日本書跡にも詩歌の作品が多く含まれています。本展では、かな古筆の白眉とされる《寸松庵色紙》をはじめ、料紙装飾も美しい歌切、歌会の和歌懐紙、さらには画賛など、平安から鎌倉時代に高揚し、長く書き継がれた和歌の造形を紹介します。また中国からの新風に触発された漢詩文の条幅など、近世に生まれた詩歌表現の形にも注目します。
人間国宝7人の出品作をはじめ、全216点の入選作を一堂に展観します。
動く!吠える!暴れる!
ティラノサウルスやトリケラトプスなど、実物大恐竜15体が京都に集結!
開館21周年を迎える細見美術館の新しい時代の幕開けとして、細見コレクションの原点ともいえる伊藤若冲と宗教美術を展覧。
江戸時代を代表する絵師でみずみずしい絵画世界を作り上げた伊藤若冲。
初期の代表作「糸瓜群虫図」をはじめとする細見美術館所蔵の若冲作品の数々を展示します。
一方、若冲と並んで細見家初代・細見古香庵が蒐集の情熱を傾けたのが宗教美術。
人々の祈りが託された仏教の諸像や荘厳具には気高い尊さが見出されます。
本展では細見コレクションの重要文化財「刺繍大日如来像」、重要文化財「線刻十二尊鏡像」などの優品を展示。
若冲と宗教美術の両者に通じる、表現対象に真摯に向き合い、美に昇華させる作り手の崇高な精神を感じ、自然や神仏への敬意を見事に造形化する日本美術の豊かさをご堪能ください。
近代日本を代表する陶工の一人で、民藝運動の主要な同人でもあった河井寬次郎の初期から最晩年までの代表的な作品を網羅した「川勝コレクション」を一堂に展観します。コレクションを形成した故・川勝堅一氏は、髙島屋東京支店の宣伝部長などを務めた人物で、1921年に河井が髙島屋で最初の個展を開催して以来、その交友は生涯にわたりました。本展では濱田庄司やバーナード・リーチなど、河井とともに民藝運動に参画した作家の作品もあわせて紹介。陶工としての河井の仕事の全貌を紹介します。
京都は、千年の間、天皇がお住まいになり、豊かな宮中文化が育まれ、皇室とともに歴史・文化を伝えてきました。
この度、京都市内二か所(四条通地下道・ゼスト御池)において、京都と皇室の深いご縁と歴史をご覧いただくパネル展を開催します。
本展では、京都新聞に掲載された平成における天皇皇后両陛下の京都府への行幸啓のお写真と、皇太子殿下の行啓のお写真を時系列でご覧いただけます。平成の時代を振り返りながら、皇室ゆかりの地・京都から、お代替わりをお祝いし、新しい時代を展望していただくきっかけとなれば幸いです。
烏丸高辻に伽藍を構える因幡堂平等寺。
日本三如来と称される薬師如来を本尊に祀る古刹です。
因幡堂の本尊薬師如来立像(=写真、重要文化財)をはじめとする霊宝のすべてのほか、東京国立博物館所蔵の「因幡堂縁起」1巻(重要文化財)、また同じく因幡国から伝来したと伝わる岐阜・延算寺の本尊薬師如来立像(重要文化財)などを展示。
この知られざる因幡堂の全貌に迫る企画展「因幡堂 平等寺」を開催します。
日本中が喜びにわいた昭和34(1959)年のご成婚から60年、いつも国民に寄り添われ、ご公務を果たしてこられた天皇皇后両陛下。
「何よりもまず国民の安寧と幸せを祈る」
とのお気持ちから、全国各地それぞれの地域に生きる人々と喜びや悲しみを分かち合ってこられました。
とりわけ、被災地お見舞い、戦没者の慰霊、また高齢者や障害者等の福祉施設ご訪問の際の両陛下のお姿は、人々の心を慰め、国民の多くが感謝の気持ちを抱いてきました。
天皇としてのご公務を間もなく次代に引き継がれようとされる今、伝統を守りつつ、新たなご公務に全身全霊を挙げて取り組まれてきた両陛下の60年の足跡を貴重な写真でたどり、昭和から平成へと続く一つの大きな時代を振り返ります。
(写真提供:宮内庁)
茶の湯に関する資料を収集し企画展示を行う「茶道資料館」が開館40周年を迎えます。また、裏千家の歴代家元が収集した文献など約6万点を収蔵する茶の湯の専門図書館「今日庵文庫」も開館50周年となります。
この節目の年を祝して、2019年、茶道資料館では二つの記念特別展が開催されます。記念特別展Ⅰは「裏千家所蔵の優品」と併設展「鵬雲斎コレクション撰」です。ぜひご覧ください。
【前期】4月16日(火)~5月12日(日)
【後期】5月18日(土)~6月16日(日)
裏千家今日庵が所蔵する茶道具や美術工芸品、今日庵文庫所蔵茶書および鵬雲斎(裏千家前家元)のコレクションが展示されます。