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開催期間:2023年9月9日(土)~2023年10月29日(日)

芭蕉布 人間国宝 ・平良敏子と喜如嘉の手仕事

芭蕉布 人間国宝 ・平良敏子と喜如嘉の手仕事

芭蕉布の着物、帯地、裂地や資料など約70点にわたり展覧いたします。

原料の栽培から一貫する品質へのプライド。伝統を守り育てる一方で挑戦を怠らない姿勢。人間国宝の平良敏子が現代へとつないだ「喜如嘉の芭蕉布」には、我が国のものづくりが参考にすべき要素が多くあります。
また、無数のディテールを重ねて紡がれる窮極な手仕事の継続は、敏子自身が常々口にするように、家族や支え合う友部の存在なしに語ることができません。「喜如嘉の芭蕉布」は、自然や地域コミュニティーと共生する私たちの未来の象徴と捉えることもできるのではないでしょうか。

本展が「喜如嘉の芭蕉布」への関心と理解を深める機会となることを願います。

 

芭蕉布とは、亜熱帯を中心に分布する植物「糸芭蕉」の葉柄からとれる繊維を材料とした沖縄を代表する織物のことです。第二次世界大戦後に消滅しかけた芭蕉布を、大宜味村喜如嘉(おおぎみそん きじょか)で、糸芭蕉の畑を自ら復活させ、工房を作り、現代へと繋いだのが人間国宝・平良 敏子(たいら としこ)でした 。
芭蕉布は、3年ほどかけて糸芭蕉を育てることからはじまります。収穫後の糸づくりから、染め、織りまで、膨大な時間をかけ、30近い工程を経て完成します。この貴重な芭蕉布は、喜如嘉の女性たちの努力と熱い志によって、今も大切に受け継がれています。

 

煮綛芭蕉布琉装着物「黄地絽織経縞」平成16年/喜如嘉の芭蕉布保存会   ©つは写真館比嘉厚
※地機(じばた)で絽織に挑戦。

芭蕉布帯地「藍コーザーアササ」平成/芭蕉布織物工房   ©つは写真館比嘉厚
※経糸に生成り地、緯糸に藍色を用いたコーザー織。アササこと蝉の絣柄は芭蕉布織物工房による考案。





1921 年(大正10年)沖縄県国頭郡大宜味村喜如嘉に生まれる
1946 年(昭和21年)岡山県倉敷市にて外村吉之介に師事
1963 年(昭和38年)喜如嘉に本格的な芭蕉布織物工房を開く
1972 年(昭和47年)県指定無形文化財芭蕉布の保持者に認定
1974 年(昭和49年)「喜如嘉の芭蕉布保存会」の代表となる
           「喜如嘉の芭蕉布」が重要無形文化財に指定
2000 年(平成12年)重要無形文化財保持者(人間国宝)に認定
2021 年(平成13年)百寿を迎え、なおも芭蕉布の制作や後継者の育成に努める
2022 年(令和4年)9月13日、逝去





 

「今時こんな美しい布はめったにないのです。いつ見てもこの布ばかりは本物です。」
民藝運動の主唱者・柳宗悦(やなぎむねよし)が著書『芭蕉布物語』の中で綴った一節です。

芭蕉布はかつて、奄美から沖縄、南西諸島一帯で広く作られ、身分を問わず衣料にされていました。沖縄本島北部の山原(やんばる)エリアに位置する小さな村、喜如嘉(きじょか)でいつ頃から芭蕉布が作られていたのかは不明ですが、明治中期には主に自家用として織られていたことが分かっています。
そんな喜如嘉で生を受けた平良敏子は、芭蕉布を織る母の背中を見て育ちました。第二次世界大戦中は女子挺身隊として岡山県・倉敷に渡って工場で働き、終戦後は倉敷紡績の社長・大原総一郎の計らいで、民藝運動の指導者であり染織家の外村吉之介(とのむらきちのすけ)に師事。織物の技術や知識、また“ 織りの心ˮ を学び、別れ際には、大原から沖縄織物の将来を託す言葉をかけられます。
倉敷から帰郷すると、糸芭蕉の畑は焼失しており、敏子はまず米軍払下げの毛布やテントをほどいた糸で織物を始めました。やがて自ら糸芭蕉畑を耕し、地域の女性たちに呼びかけ、芭蕉布を作り始めます。
 


煮綛(ニーガシ―)芭蕉布 琉球着物「赤地 綾中」(アカジアヤナーカ)
平成/芭蕉布織物工房

 

制作をともにする仲間・友部(ドゥシビー)たちと、高品質を目指し、着物以外に座布団地や帯地といった新商品も展開するようになりました。また、敏子は絣の芭蕉布作りに情熱を傾け、染織家として数々の工芸展に出品を重ねます。芭蕉布の透けるように軽やかな風合い、古典柄を発展させたオリジナリティ溢れる絣柄は高い評価を集めました。1974年(昭和49年)、敏子は友部たちと結成した「喜如嘉の芭蕉布保存会」の会長に就任。同年には「喜如嘉の芭蕉布」が国の重要無形文化財に指定され、敏子はその技術の保持者に認定されました。敏子が一貫して最もこだわるのは、細く、均一な芭蕉糸のクオリティーです。約3年を要する糸芭蕉の栽培に始まり、繊維から一本一本、糸を績む。「糸を見れば芭蕉が育った畑が、績んだ人が分かる。芭蕉布ほど正直なものはない」と言うほど、自然環境や作り手の“心ˮが表れる織物なのです。
 


芭蕉布 着物「一玉 小鳥」(ツタマートゥイグヮー)
昭和58年/芭蕉布織物工房

ツバメをポイントに配し絵羽風に拡張高い着物に仕上げた。平良敏子が考案したツバメ柄はバーナード・リーチが「このツバメはまるで飛んでいるようだ」と感心した。


 


||||||||||  関 連 イ ベ ン ト ||||||||||

モーニング・ミュージアム

故・平良敏子さんの後継者であり、喜如嘉の芭蕉布保存会会長でもある平良美恵子さんによるギャラリー・トーク。
会場内を移動しながら、展示作品の解説をします。

【日時】2023年9月10日(日)9:15~9:50(受付:9:00から)
【会場】美術館「えき」KYOTO・定員:25名・参加料金:1,500円(入館券付き/税込)
定員になり次第、販売終了。

※本イベントは定員に達した為、受付を終了しております。

京都新聞ニュースカフェ特別講演会
「喜如嘉の芭蕉布」


講演:平良美恵子さん(芭蕉布織物工房)当日は三線の演奏もお楽しみいただけます。
【日時】2023年10月4日(水)13:30~15:00(受付:13:00)
【会場】京都新聞文化ホール(京都市中京区烏丸通夷川上ル京都新聞ビル7階)
【参加費】1,500円(税込)・定員:先着150名(参加券を送付)
詳細、お申し込みは、2023年8月21日(月)から下記QRコードまたはこちらにて受付開始。


☆★☆★☆2023年9月6日付京都新聞朝刊に掲載された特集紙面はコチラでもご覧いただけます!!

開催期間2023年9月9日(土)~2023年10月29日(日)
時間10:00~19:30(入館締切:閉館30分前)
休館日※会期中無休
会場 美術館「えき」KYOTO
〒600-8555 京都市下京区烏丸通塩小路下ル東塩小路町
ジェイアール京都伊勢丹7階隣接
ホームページhttps://kyoto.wjr-isetan.co.jp/museum/exhibition_2308.html
料金一般1,000円(800円)
高・大学生800円(600円)
小・中学生600円(400円)

※()内は前売料金。
※「障害者手帳」をご提示のご本人さまとご同伴者1名さまは、当日料金より各200円割引。
※2023年8月5日(土)より9月8日(金)まで前売券販売。

販売場所=当館チケット窓口(休館日を除く)、京都駅ビルインフォメーション、チケットぴあ(Pコード994-348)、ローソンチケット(Lコード53359)
お問い合わせお問合せ:ジェイアール京都伊勢丹TEL:075(352)1111(大代表)
主催/後援など主催:美術館「えき」KYOTO、京都新聞
特別協力:芭蕉布織物工房、喜如嘉の芭蕉布保存会、大宜味村
協 力:公益財団法人 大倉文化財団 大倉集古館、京都沖縄県人会、太田はるの
企 画:株式会社オフィスイーヨー
企画協力:株式会社東京画廊
写 真:比嘉厚(つは写真館)、鍋島徳恭(家庭画報)
備考前期:9月9日(土)~10月3日(火)/後期:10月4日(水)~10月29日(日)
※着物「煮綛芭蕉布」10点は、前期・後期で前・後ろ身頃を替えて展示します。

※展示作品やイベント内容が変更、または中止になる場合がございます。最新情報は当館ホームページをご覧ください。